高専から海外への挑戦!~ギャップイヤーで学んだこと~―vol.10

今回のインタビューは鈴鹿高専OBの川野晃太さんです。

川野さんは鈴鹿高専の在学中から、様々な海外経験をされています。

専攻科の卒業後は、グローバル企業に就職し、現在はモノづくりの現場で生産技術を学び、今後は営業企画に携わるそうです。
また、仕事以外でもLiDS(リッズ)という団体を立ち上げ、これまでの海外経験を活かして様々なイベントを開催しています。

今回は、そんな川野さんに海外での経験と、LiDS(リッズ)の活動についてお聞きしました。

―川野さんが最初に海外に興味をもったきっかけは何だったのでしょうか?

一番最初に興味を持ったのは鈴鹿高専の学校内で募集があった、アメリカへの短期学生派遣に参加したことでした。
それまで「グローバル化だ!英語は必要だ!」なんて言葉をよく耳にしてましたが、いまいちピンときていませんでした。
しかし、実際にアメリカに行き経験したオハイオ州立大学での講義などで、日本との違いに圧倒されました。

―なるほど、短期学生派遣でのアメリカ生活では、イメージとの違いがあったのですね。

そうですね。
例えば、日本では学校の授業では、先生が板書しながら学生は書き写すスタイルですが、アメリカでは学生が先生に積極的に質問をする能動的な学習スタイルでした。
また、個々がそれぞれ違うことを良かれとする考え方に、共感を覚えました。

短期学生派遣では、いかに今まで自分が小さいコミュニティの中で、狭い考えで生きて来たのかを思い知らされ、海外へ興味をもち留学に挑戦してみたいと思うきっかけになりました。

―その後、実際に一年間の休学をしてギャップイヤーにも行ったんですね。

そうです。その後は、専攻科の入学前にイギリスに行きました。
その時は、ロンドンで有料と無料の2種類の学校に通いながら、様々な国籍の学生さんと一緒に英語をどっぷり学びました。

学校では、ディスカッション形式の授業がとても刺激的でした。
宗教や人種差別、貧困、戦争などのテーマでディスカッションをして、毎日、好奇心や学習のモチベーションが上がっていきました。
英語力はもちろんつきましたが、多様性のあるクラスの中で、異文化や色々な考え方があることを学べたことが一番よかったことだと思います。

色んな国出身の生徒がいる国際的なクラスの様子

色んな国出身の生徒がいる国際的なクラスの様子

―学校以外での生活はどうでしたか?

学校生活以外では、レストランのウェイターや現地での日本語教師のアルバイトをしました。

あとは、2ヶ月ほどイギリス人の家にホームステイさせてもらった後に、外国人同士のシェアハウスに住みました。
シェアハウスでは、リトアニア、インド、韓国、フィリピンなどの様々な国の人たちと一緒に生活しました。

他には、クラスの友達とパブやカフェに行ったり、土日に無料で入れる博物館や美術館に行ったり、あとはサッカーやテニスを観に行ったりしました。
プレミアリーグを一試合2000円くらいで観たり、ウィンブルドンで至近距離でシャラポワを見たりもできました(笑)

詳細がもし気になるという方は、高専ベンチャーと一緒に海外経験オンライン座談会というのを無料でやってますので、ぜひ参加してみて下さい。

金曜の夕方からは学校の友達とパブにいく様子金曜の夕方からは学校の友達とパブにいく様子
金曜の夕方から学校の友達とパブにいく様子

―刺激的な生活でとても楽しそうですね。逆に、苦労したことや、学んだことなどはありましたか?

正直、苦労したことはたくさんありました(笑)

留学って聞くとロマンチックなことや、楽しいことをイメージしがちですが、実際には大変なこともたくさんありました。
私の英会話のレベルはとても低かったので、最初の2ヶ月間はとても苦労しました。
何を言っているのか早くて分からないし、意見を言わないと相手にされなくなってしまったり、言いたいことがあってもすぐに出てこなくて、言葉のキャッチボール成り立たない日が続きました。

また、特にシェアハウスで共同生活をしていたときは、日常的なやりとりで言葉のキャッチボールが必要不可欠だったので、慣れるまではいつも異文化間でのコミュニケーションの難しさを感じていました。

そして、イギリスで生活をしていく上で、日本の考え方が通用せず、犯罪にあったり、理不尽な扱いをうけたりと、日本にいたときには直面しなかったことが、日々起こったのが一番の苦労だったと思います。
まわりに知っている人も居ないですし、今のように日本にいる家族や友達に気軽に連絡することが難しくて孤独を感じたこともありました。

それから、学校の授業で宗教や政治についてのディスカッションをしたときに、意見を求められたことがありました。
そのときは、自分がいかに日本のことに無関心で生きてきたのかを知りました。
それからは日本についてもっと興味を持とうという意識が生まれましたし、日本を外からみた良さや悪さに気づくことができました。

日本から外に出て困難に直面し、そこから乗り越えるためにたくさん考えることが出来たことが、何よりの財産だと思っています。

様々な国の友達(右から、トルコ、フランス、イラン出身)からたくさんのことを学んだ

―そのような海外経験を経て、グローバル企業に就職するようになったのですね。

そうですね。海外で様々な経験をした結果、日本に限らず色んな国で色んな人と働くことを夢みるようになり、グローバルに事業を展開する企業に就職しました。

そして、社会人1年目をすぐに会社が実施している休職する制度を利用して再度ドイツでギャップイヤーを実施しました。

(※こちらに川野さんの体験をまとめた記事がありますので、もし宜しければご覧下さい。)

―なるほど。そういったたくさんの海外経験をもとに、LiDS(リッズ)という団体を立ち上げたのですね。

はい。今回、LiDSを立ち上げようと思ったきっかけもギャップイヤーの経験からでした。
自分のこれまでの経験から、一人一人に日本の未来について考えて欲しいと思っていますし、その未来は子供たちだと思っています。

LiDSという名前はLove and Idea create Dreams and Smiles (想いとアイデアで、一人一人の夢、笑顔を創造する) の頭文字をとってきました。
今は仕事と両立しながらで大変なこともありますが、現在は、社会人と大学生・院生が中心となり活動をしています。

LiDS HPはこちらです!

―次回開催のイベントについて教えてください!

「親子で「国際人」になれる!国際スポーツ交流イベント」を開催します。
次回は国際スポーツ交流イベントを、3月14日の13時〜16時に新宿NPO協働推進センターで開催します。

このイベントでは、スポーツ交流のレクリエーションを通して、子供たちや保護者の方々に、流暢な英語が話せなくても、海外の留学生と楽しく交流出来るということを実感して欲しいと思っています。

一人でも多くの子供たちに、異文化に触れることが出来る体験を提供し、英語を学ぶ意味を実感してもらうことで、新しい「世界」を踏み出すきっかけを作りたいと思います。

イベント写真

現在、READYFOR?でクラウドファンディングもしていますので、是非、支援をお願いします!
https://readyfor.jp/projects/kidsxlids2

―最後に、海外での経験を通じて、あらためて高専生に伝えたいことを教えてください。

高専生に限らずに言えることかとは思いますが、学生時代には理論などの詰め込みにこだわりすぎないことが大切だと思います。まずは色んなことに挑戦してみて、必要だと感じることが学習へのモチベーションに繋がると思います。

私のように海外に出てみることは一つの選択肢に過ぎませんが、やってみたいと思うなら絶対に行動に移した方が良いです。失敗を恐れて挑戦しないことを一番、恐れないといけないです。

高専生は失敗した時に自分で起き上がれるだけの底力を備えていると私は思います。
ぜひ、時間のある今のうちに有意義な学生時代を謳歌してください。