今回のインタビューは寺本大輝さん

寺本さん

寺本さんは、この春高専卒業後に大学への編入はせずに起業することが決まっている。プログラミングをしながら遊べるゲーム―Hack for Playを事業化するのだ。高専を卒業したら就職あるいは進学という考え方がスタンダードになっている中、起業という選択をした背景にはどのような思いが詰まっていたのか探っていきたい。きっと、現役の高専生にとっても”選択肢”の幅が広がるはずである。

 

―まずは、寺本さんの今後のビジョンについて教えて頂けますか。

ゲーム感覚でプログラミングが学べるHack for Playを事業化させることです。プログラミングを学ぶのには難しい面も多くありますが、Hack for Playの中では、そういった難しさを隠しながら楽しんでプログラミングが学べることが出来れば良いと思っています。そうすれば、プログラミングが学びやすくなり、もっと身近なものになりますし。

 

―なるほど、ビジョンは明確なのですね。でも、起業という選択をするに当たって何か不安なことはないのですか。

正直、経営に関するノウハウ不足や資金調達と言った面で不安は残っています。ただ、「やるしかない」という決意も同時に出来ています。なぜなら、経営って結局のところ、実際に進めていく中でしか身に付かないと思うからです。確かに大学や大学院で経営学とかって学べるかもしれません。けれど、それらは理論でしかなくて、結局は実践で積み重ねていくことしか出来ないと思っています。だからこそ、「やるしかない」のです。アイデアに自信はありますし、技術に関しては心配していません。

 

―起業するに至った経緯はどのようなことがキッカケだったのですか。

あるコンテストで評価して頂いたのがキッカケです。そこでの賞の一つとして、オフィスを借りることが出来たのです。世の中では、社会が若者の挑戦を妨げているとか色々言われていますが、少なくとも僕が起業をするに当たって否定をされたことはありません。もちろん、アドバイスとして厳しめの言葉を頂くことはありますが。要するに、挑戦できる環境って意外と整っているということだと思います。あとは、本当にそこで挑戦するかですよね。自分の中で壁を作ること、「勘違い」が自分の挑戦を妨げることってよくあると思うのですが、それほど無駄なものはありません。

 

―高専に入って良かったことはどんなことですか。

全部です(笑)。個人的に特に良いと思えるのは、「閉じている空間」ですかね。要するに、普通の高校生とは少し世界が違うということです。普通の高校では、やっぱり大学受験がメインに置かれるじゃないですか。早ければ高校二年生、16歳くらいで受験戦争みたいなのが始まってしまう。「こんな勉強して何になるの?」って言いながら勉強している人も多いと思います。そうやって受験戦争が始まってしまうから、(学外で)何かに挑戦しようと思っても挑戦出来ないことの方が多いのではないですか。少なくとも私は、高専ではそういったことは無いと思っています。受験戦争にも巻き込まれませんし、学歴を気にすることもありません。高専だからこそ出来ることって沢山あると思います。僕は若い時からプログラミングを学べました。プロコンやロボコンと言ったコンテストが用意されているのも特徴のひとつです。そうやって若い時から挑戦できる環境が整っているのが高専なのだと思います。

 

―高専ベンチャーは何で知ったのですか。

僕がお世話になっている先生の紹介です。高専ベンチャーの企画に参加して変わったことは”人生観”です。会社見学、特に急成長中の会社に行くことで、現場でしか感じることのできないその会社の文化や雰囲気といったものを感じ取ることが出来ました。他の高専生との出会いも刺激的でした。いい意味で”濃い”人間が沢山さんかしていました。それぞれに個性があり、学校やクラスでは決して見られないような人たちに出会えたことが良かったです。そうやって外の世界で得るものは大きいと思います。

 

―高専在学中に一番頑張ったことってどのようなことですか。

同人サークルですね。中学時代から仲の良かった友人たちで集まりました。一番うれしかったことは、外のイベントで出した作品が覚えられていたことです。そうやって、(高専の)外で活動すると様々な刺激に巡り合うことが出来ます。また、学ぶことが多いのも確かです。例えば、僕はモノづくりを勘違いしている節があって、とにかく手を動かすことを考えていました。けれど、重要なことは手ではなく脳みそを有効活用していくことなんです。こういう学びの体験は学外の方が多いですね。

 

―最後に、高専の後輩へ向けてアドバイスがあればお願いします!

僕はいつも後輩に、やりたいことが見つかったら相談するように言っています。後押しをさせてもらいたいなと思って。さっきも言いましたけど、自分で作る壁―「勘違い」ほど無駄なものはないんです。だからこそ、そういう「勘違い」をはずせる環境が必要なのだと思います。そのためには、行動することが必要です。高専の外に出たり、凄い場所で凄いことをしている人や尊敬できる人に会いに行くことをお勧めします。そうすれば、どんどん環境が変わっていき、自分自身の視野や世界を広げられるからです。「勘違い」を頭の中で理解することは出来ません。そうやって挑戦する機会が増やせれば良いと思います!

 

インタビューを終えて

今回のインタビューの中で一番ポイントになっているのは「チャレンジする」という所だと個人的には思った。自分で勝手な壁を作って、挑戦権を放棄することは多分にある。ただ、そのような事が起こるのは”狭い範囲だけで考えているから”ということに尽きる。だからこそ、自分で視野を広げていくことが必要なのだろう。視野を広げることで、自分にとっての選択肢も増え、よりよい決断がきっと出来るようになる。ただし、視野を広げようと思うと「チャレンジすること」が必要不可欠だ。広い世界、幅広い選択肢というのは挑戦した者だけが得られる特権であるような気がする。チャレンジすることの大切さを学べたインタビューだった。