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今回のインタビューは株式会社jig.jp代表取締役社長の福野泰介さん

福野さんの座右の銘が「一日一創」という言葉である通り、クリエイティブであることを人間の価値だと考え、日々創造活動を続けておられます。また、単に「創る」だけでなく、自分が創造したものに価値を見出してもらうという事の大切さも教えてくださいました。今回のインタビュー記事は「創る」ことの喜びや、その重要性を再認識できるものだと思います。

―福野さんは福井高専卒業後にいくつか会社を設立されて、現在に至るということですが、会社を設立して自分で進めるというのはリスキーではありませんでしたか?

会社って意外と潰れないんだよね。会社が潰れるときって大きく二つの場合だけなんだけど分かるかな?

―お客さんがいなくなった時や市場が変わりその変化に対応出来なかった時ですか?

もっと単純なこと。実は、不渡り(借入金の返済が出来ないこと)を二回以上してしまうことそして自分で会社をたたむ場合の二つなんだよね。業績の云々はあるかもしれないけど、会社というのはそう簡単には潰れないんだ。

―ソフトウェアの分野では差別化が取りにくいと個人的に考えているのですが、何で差がつくのですか?

「スピード」だね。同じようなアイデアを持っていても、それを一番早く現実のものにした人が勝つ。語弊があるかもしれないけれど、実はアイデアそれ自体には価値はあまりない。何かアイデアが浮かんだとしても、それを現実的なものに出来なければあまり意味はないんだよね。そういう意味で、アイデアを一番早く形にするということが大きな差を生むんじゃないかな。

―だからこの分野は変化が激しいのですね。

だからこそ、変化に早く気づいて、利用者に価値を見出して貰えるものを創っていかないといけない。そのためにはやるべきことを絞って、決めて、早く実行するということが重要なんだね。

―やるべきことを早く決めて実行するのは重要ですね。それに関連して、高専ベンチャーでは「どのプログラミング言語」を学べば良いのかと言う質問をよく受けます。それに対するアドバイスのようなものはありますか?

一つ言えるのは「なんでも良いから、一つの言語を使いこなせ!」って言うことかな。どのプログラミング言語が一番良いということは言えないよね。だからまずは自分でこれっていうプログラミング言語を決めて、それを使いこなして欲しい。それを使って好きなものを創るという経験をして欲しいな。自分のプログラミングで好きなものを創って、それを提供して価値を見出して貰う。この一見すると単純な経験が自分の中の喜びにもなるし、その経験はどのプログラミング言語にも応用できるんじゃないかな。だから、とにかく一つの言語に夢中になって欲しいな。

―自分で好きになるっていうプロセスが重要ですね。

日本でプログラミング教育をする時に、それを教える先生の方があまりプログラミングを好きではないというのが課題に挙がったりする。それはその通りだと思っていて、やっぱり教える人もそれを好きでなければならないし、教えられた方もそれを好きになって欲しいよね。プログラミング教育の時に重要なのは、「プログラミングが好き!」という人をどれだけ増やせるかだね。だから、これからプログラミングを学ぶ人には受け身ではなく自発的にどんどん学んでいって欲しい。そうすれば自ずとプログラミングを使って何かを創りたいと思うようになると思うし、次から次へと学んでいけるんじゃないかな。

―受け身ではなく自発的というのは特に響きます。

大人も含めて今は「創る楽しさ」というのがどこか忘れられているんじゃないかな。例えば、最近ソフトバンクがペッパーっていうロボットを出したでしょ。秋葉原のあるお店で、ペッパーにプログラミングをして自分の好きなように動かせることが出来るんだ。創造が好きな人はペッパーに「何をさせるか」という事を考える。だけど受け身な人は、ただただペッパーを消費して終わるだけになってしまう。ゲームでもそうだよね。みんなは出来上がったゲームを楽しむようになったけど、プログラミングが出来れば自分で創れるようになるんだよね。そうやって何かを消費していく代わりに、何かを創造するということが忘れられたんじゃないかな。

―何かを創造する。もの凄く深くささります。

人間は本来何かを創ることが好きなんじゃないかな。それは工業系とかそういう領域だけじゃなくて、どの領域でも同じ。例えば営業という職業でも、相手が価値を見出してくれるようなストーリーを創っていく訳だよね。どの分野でも、いつでも「創造する」ことが根底にある。大企業が何かを作って、それを多くの人間が消費しているのが今の社会だけど、実は消費者にならずに自分で作れるものって沢山あるんだよね。だから、ただただ受け身になるのではなくて「創造する」ということを常に忘れないようにしたい。

高専生には「ものづくり魂」のようなものがあると思うけど、それはもの凄く価値のあることなんだと自負して欲しいな。常に何かを創ることを全面に教えられている訳だし、きっと創ることの方が何よりも楽しいと思う。その「ものづくり魂」だけは必ず忘れずに心に置いていて下さい。

―インタビューを終えて

「創造する」こと。長らく自分から遠ざかっていたことだった。私は勉強を受け身でやり、いわば消費がメインの生活になってしまっていた気がする。今日のインタビューの中で出てきたペッパーの話は衝撃的だった。私はペッパーを消費することだけを考えており、「何をさせるか」など考えたことも無かった。ただ、そこで心が揺れ動かされたのは私も本来「創る」ことの方が好きだったからだと思う。図工でもなんでもそうだが、自分で創造することの方が何よりも楽しかった。「創造する」ことを忘れてしまいがちな自分に改めてその意義を教えてくれたインタビューであった。 今はただただ人に認めて貰える何かを創りたくて仕方がない。

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