全寮制×オール英語授業

金沢高専の目指す先とは?

 

先日、力強い記事を目にした。

 

「全寮制×留学」で人材育成 金沢高専(読売新聞 金沢版 平成27年6月11日付)

 

金沢高専(石川県金沢市)が、新キャンパスを建設し、1、2年次に入寮生活を送り、3年次には全員が海外留学するという革新的な将来構想を明らかにした。

これはぜひとも直接お話を聞かなくてはと思い、お忙しい中、ルイス・バークスデール校長とお話しする機会を得た。

金沢高専2020visionを中心に、今回の取り組みのお話をお聞きした。

 

ルイス先生1

 

■今回の取り組みの背景をお聞かせください

金沢高専は数少ない私立高専として独自色を打ち出してきました。金沢高専といえばグローバル人材教育に特化してきていた歴史があります。

 

現在では、25%の先生が外国人教員です。

・アメリカ

・ニュージーランド

・ベトナム

・エジプト

・イラク

などさまざまな国から採用し、グローバルという観点では、非常に多様性に富んでいると思っております。

 

高専設立から50年余りの時間が経ちました。

高専は実践的な技術者の育成を目標として設立されていますが、ここ最近、高専の得意なところに大学教育が入り込んできたり、専門高校が専攻科を設け5年生の実践的な教育を開始するなど高専とほか教育機関との同質化が散見されるな、という印象を持っております。

そのような競争環境の中で、さらに加速化していくグローバル化に対応するためには、高専だからできるイノベーション人材の存在が不可欠であると考えております。イノベーション人材を育成するために、金沢高専2020visonを作成いたしました。

 

 

■なぜグローバル化なのか

金沢高専は地元からの入学者及び、地元の企業への就労者が多いのが特徴の一つと思っております。

その就職先の企業さんが海外に工場を建てたり海外に販路を拡大していくに当たり、金沢高専にもグローバル化への対応の要請が多くなってきたことも一つの要因であると思います。

地元に密着している金沢高専としては、支援してくださる地元の企業さん方と連携して、地域としての競争力もつけていきたいと思います。

 

 

■グローバル化への取り組み

現在は、

・ニュージーランドへの1年間の留学

・アメリカへの語学研修

・ラーニングエクスプレス

など海外と触れる機会を増やしております。

特にラーニングエクスプレスというシンガポールポリテクニクとの取り組みは、実際に海外の学生と途上国の村に出向き、その中で学生自身が課題を発見し、解決するという「デザイン思考」を養うために非常に効果的なプログラミングであると考えております。

 

 

■教育の方向性

多様性を尊重している金沢高専としては、学生主体型のアクティブラーニングを目指します。

従来の教育方法は少しマニュアル的であったかなと感じています。

学生には、変化の激しい現在社会の中でイノベーションを起こすリーダーになってほしいですね。

 

また、高専と大学の立ち位置を見直し、5+4年(高専5年+大学・大学院4年)をスムーズに学べるようにすることで、研究の時間を延ばすなどの取り組みを考えております。

大学生と交流しやすいように、4・5年の授業を90分授業にするなど対応しやすいようにしたいとも思っています。

現在は、金沢工大との連携を強化しておりますが、いずれ、海外の大学へ編入するような学生が増えてくれるとうれしいですね

 

一方で、帰国子女や留学生の受入れを検討しています。そうなると入試の方法も変わってくるかもしれませんね

 

■新しい取り組みなので、先生方のコンセンサスをそろえるのは大変ではないか

よく聞かれる話なのですが、金沢高専2020visionは私がトップダウンで決めたものではなく教員と一緒になって決めたものです。私が就任したのは昨年度のことであり、それ以前から指導してきた教員の思いが形となり、前に進んでいると思います。なので、実はすでにコンセンサスはそろっていたのかもしれませんね。

 

ただ実際に、いきなりすべての授業を英語で実施することは非常に難しいなと考えております。

金沢高専は数年前から、授業の英語化に向けて外国人教員と日本人教員がペアを組みながら、教員自身も授業の勉強ができるような仕組みをつくり、来たるべき日に備えております。現在はハンズオン形式だけですが、今後は、一連の授業すべてを外国人教員にも任せられるようにしていきたいと思います。

 

■このような魅力的な取り組みをすると他県からの応募者が増えるのではないか

基本的には地元密着の方向は変わっておりません。

他県から来た学生さんには、地元の企業さんなどとのインターンや、交流を通じて金沢が第二の故郷のように思っていただけると嬉しいですね

 

ルイス先生2

 

■インタビューアー手記

高専でグローバル、英語の話をしようとすると

よく「その前に考える力を」となることが多いと感じられる

金沢高専においては金沢高専2020visonにおいて

順番としてまずは「多様性を受け入れた教育」、「デザイン思考」、「グローバル人材育成」ときている

 

単純に授業のすべてを英語で行うといった表層的なことではなく

その裏には

不確実性、多様性が高まる現在のエンジニアリングの現場において

必要な人間力を涵養するようなプログラムを作成していると感じた。

 

日本においても

・トヨタなどが中心となって設立された海陽学園(http://www.kaiyo.ac.jp/life/index.html)

・寮×グローバルのISAK(http://isak.jp/jp/about/ourmessage/)

など

これからの時代に必要な人材を育成する学校が登場してきている。

 

金沢高専は

明確な意思を持って

外国人であるバークスデールルイス校長を学校のTOPに据えた。

私立高専の挑戦は確実に歩みを進めている。