理想をカタチに!ものすごすぎる、モノづくり力 —vol.3

今回のインタビューゲストは戸塚拓伸さん(沼津高専卒、大阪大学大学院情報科学研究科、回路師)

第三弾のインタビューは、ニコニコ技術部でも有名な”回路師”さん。
そんな異名をもつ戸塚さんへのインタビューです。戸塚さんは、高専時代から現在まで凄いモノづくりをしています。

■高専時代

—何故高専に入学しようと思ったのですか?

父や祖父がモノ作りの好きな人で、父が部屋の棚をつくったり、庭をつくったりしているのを見て、そこからモノ作りっていいなと思い、当時ロボットがもてはやされていたので、ロボットが特にいいなって思って、高専に入ろうと思いました。

—どんな高専時代を過ごしていましたか?

ロボコンに力を入れていました。ロボコン部では、授業では学べないようなモノづくり、実際に設計してつくったり、プログラミングしたりしたことが特に良かったです。多足歩行ロボットをつくったり、無線で操作するための回路をつくったりしていました。また、五年間寮生活をしていたので、集団生活は楽しいって素直に思うようになりました。

—もし、高専時代に戻れたら、何をしたいですか?

正直に言うと、ロボコンや勉強ばかりだったので、彼女を作ったりして年相応の青春を送りたかったです。先生からの評価はありましたが、女の子からの評価がなかったです。製作物に関する質問や技術的な相談を受けることはありましたが、そういったやりとりはあまりなかったです。

■現在の活動

—大学院生活の中で自分は高専生だなと感じる瞬間はいつですか?

全国の高専出身者と友達になれる時ですね。考え方も学部生とは違ったりするので、自分は高専生だなって感じます。他の高専出身でも親近感がわきます。就活後の内定者懇談会でも、高専生同士で仲良くなれました。先生にもこの人高専生だよって紹介してもらうこともあって、高専生同士ならすぐに仲良くなれて、絆みたいなものを感じます。

—高専出身で良かったことは何ですか?

大学院の研究室では、“高専生だから実装系できるよね”みたいなところはあります。実際に手を動かす時は高専生の出番ですね。
高専生は、底力を秘めていそうな「いざというときに役に立つ」イメージです。
普段、研究室とかで高専生だからパソコンとかプログラミングに詳しいイメージを持たれていて、そういう部分で頼りにされるときに高専出身で良かったなって感じます。「一家に一台ほしいやつ」ですね。

■ものすごすぎるモノづくり力

戸塚さんの作成した3つのロボット、①ペンプロッタ ②全自動引きこもり機 ③朝快適に起きるマシンについて紹介したいと思います。

①自動でレポートを書くロボット「ペンプロッタ」

【感謝殿堂入り!】全力でレポートを自動で書くロボットをつくってみた:http://www.nicovideo.jp/watch/sm7687446

—なぜ作成しようと思ったのですか?

高専4年生の時、ある先生のとんでもない課題のなかに、200枚のレポートを手書きでやる課題があって、それをどうしてもやりたくなかったので、自分の代わりに書いてくれるマシンをつくりました。

—実際動かしてみて、どうでしたか?

作成には7、8ヶ月かかったのですが、マシンが完成した後に、実は結局手書きでレポートを書きました。文字は書けるということで完成したつもりでしたが、紙送り機能がなかったんです。しかも、すごく遅くてこれに書かせるのは無理だなと判断しました。

②2014年12月下旬より全国ゲーセンで採れる!!「全自動引きこもり機」

全力でスイッチをONするとOFFするロボットと戦ってみた:



この「スイッチをONにするとOFFにしてくるマシン」が最近の一番の自慢です。
大学4年生の時に作成していたマシン(*1)をよりバージョンアップして、最近念願の商品化することになりまして、年末年始に日本全国のゲームセンターでプライズ化することになりました。生産台数が1万2千台で、それだけたくさん世に出せるということで、貴重な経験をさせて頂いています。

(*1)大学4年生の時に作成していたマシン:http://youtu.be/UmQ5LsNMXZ4

—なぜ作成しようと思ったのですか?

元々、スイッチをONにするとOFFにするマシン「Ultimate Useless Machine」が海外で有名で、それに顔とか、怒って暴れる機能とかつけたらおもしろいと思って全自動引きこもり機を作成しました。

—どのように作成したのですか?

秋葉原の秋月電子で、基盤とかモータドライバとかばらばらで買ってきて、ハンダ付けをして回路を作ったり、ピックマイコンにプログラムをかいてソフトウェアを作ったり、ホームセンターで材料を買ってきて自宅の工具で加工して外装を作ったりしました。ちなみに、加工するためにアマゾンで電動のこぎりを買いました。全部で、4ヶ月かかりました。

—今後このマシンをどうしたいですか?

自分のつくったものを手に取ってもらえることが一番嬉しいです。
全自動引きこもり機に関しては、第三弾、第四弾ができて、キットとかできて、ものづくりの学習材料とか、子供のおもちゃとかになるといいと思います。

③朝快適に起きるマシン

『The Most Useful Wake Up Machine』 全力で確実かつ快適に朝起してくれる装置を作ってみた:http://youtu.be/qCMkFJMyChk

—なぜ作成しようと思ったのですか?

急につくろうと思いました。朝起きるのがだるいなと思って、どうしたらだるくないかなと思い、自動で起き上がるベッドをつくって、自動でカーテンをひらくようにしたらいいなと思ってつくりました。

—今後はこのマシンをどうしていきたいですか?

ゆくゆくは朝食の自動化をやってみたいです。朝食をつくるマシンとか、朝起こしてくれるだけでなくて、コーヒーを入れる延長で、卵を割ったりしてくれたら更に快適になりそうです。

■現役高専生へのメッセージ

—大学編入のよさは何ですか?

大学編入して、すごく良かったと思っています。大学に出ることによって、高専生以外の人とも関わることになりますし、大学は高専より勉強や研究の規模が大きくなるので、大学編入はオススメです。例えば、自分がこういう研究がしたいから編入するといった目的があれば、編入して2年間学部で勉強したあと大学院までいくと、更に2年間やりたいことができるので良いと思います。

—どのように勉強のモチベーションを保っているのですか?

“これは将来ぜったいやりたい!”と決めてやっていたので、モチベーションを保てました。大きい目標に対して、自分が実現できそうな小さい目標を用意して、いくつもクリアしていくとモチベーションを保てると思います。

—夢はどのように見つけることができると思いますか?

ある瞬間にこれをやりたい!とか、これが好きだから叶えたい!みたいな気持ちを見つけることが、夢を見つけることかもしれないですね。

■今後は、どうしていきたいですか?

みんなに幸せになってほしいです。10年後、20年後を考えて人型の汎用性のあるロボット、人がいけないような所や人ができない作業など、そういうところで人の代わりになるロボットをつくるために、自分がもっている技術で貢献できるといいなって思います。

〜インタビューを終えて〜

今回は、沼津高専の後輩から先輩へのインタビューでした。高専時代から様々なモノをつくり、現在も夢に向かって走り続けていました。そんな戸塚さんのお話を聞いて、やりたいことをカタチにする実行力や発信力が大切なのだと感じました。これからの活躍もすごく応援しています。

現在、戸塚さんがつくった「全力でスイッチをONするとOFFするロボット」がゲーセンでゲットできるので、ちゃっかりゲットしました!
スイッチのしまわれ方が、すごく素敵だと思いました。

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ゲットできるゲーセン:https://www.taito.co.jp/prize/item/0000000075

執筆者:堀口梨佳